警察に通報とか色々言ってましたが、東京の方ですか?

タイトルに深い意味はありません、コロコロ変わるはずでしたが、もはやずっとこのまんまかも。

出産クラウドファンディング氏に捧ぐ

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 こんにちは、大塚です(←実は1回やってみたかった……)。

 みなさんもご存じでしょうが、出産クラウドファンディング氏がtwitterのアカウントを削除しました。今後はブログとYouTubeに活動の場を移すとのことですが、正直なところ活発な動きは期待できそうにありません。非常に残念ですが、出産クラウドファンディング氏は、事実上の引退を迎えたと解釈すべきでしょう。

 昨年の秋からネットの片隅で話題だった一連の騒動。いわゆる「炎上」の度合いとしては、ボヤ程度でしかありませんが、クラウドファンディングを決意しプチ炎上、申請却下でpolcaに再チャレンジし再炎上、仮想通貨(しかもNEM!)に手を出して再々炎上、挙句のはてには留年が決まって本炎上。これらの計算し尽くされたかのような(あくまで「されたかのような」です)ストーリー展開、なかなか簡単に真似できるものではありません。

 右足首の大怪我から復帰し、平昌五輪で66年ぶりの連覇を達成した羽生結弦選手は、自らの復活劇を「漫画の主人公にしてもできすぎ」と評しましたが、出産クラウドファンディング氏だって負けてはいないでしょう。こんなことを言うと世界中のユヅリストからフルボッコにされそうですが、あの連続炎上劇も「不条理4コマのオチにしたってワケわからなさすぎ」だとは思いませんか。

 そんなドラマ性をもってしても、出産クラウドファンディングは失敗に終わりました。いろいろな理由が挙げられますが、やはり一番は動機が不純だったことに尽きます。恩送りの精神だの、ソーシャル父さん母さんだの、経済的な事情で出産を諦める風潮に歯止めをかけるだの、いろいろと御託を並べてはおりました。でも本音は「自分もインフルエンサーみたいに有名になりた〜い」という功名心だったはず。そのドス黒い甘えを世間にアッサリと見透かされながらも、言い訳にもならない屁理屈を並べたて、それどころか煽り芸まで繰り出したものだから、そりゃあ炎上も失敗もするでしょう。

 イケハヤ氏やはあちゅう氏のような、既に名の通ったインフルエンサーたちが、煽りで炎上商法に打って出られるのは、アンチ以上のフォロワーをしっかり確保しているから。いざという時には、そのフォロワーがファンネル(ガンダムのアレです)よろしく、援護射撃をしてくれるのです。さらに炎上が大きくなれば、田端信太郎氏やホリエモン氏のような、同じ大物インフルエンサー間で暗黙のうちに結ばれた集団的自衛権が発動し、彼らも加勢してくれるというネット上の安全保障体制もあるのです。

 出産クラウドファンディング氏は、ブログが少しバズったかも知れませんが、世間的にはまだまだ平凡な大学生でしかありません。炎上当初には多少の援軍もいましたが、形勢不利と見るや蜘蛛の子を散らすかの如く消えてしまいました(金丸信氏の言葉を借りれば「馬糞の川流れ」というやつです)。ドラクエで言うところの「ひのきのぼう」と「たびびとのふく」しか装備していない大学生が、ネット上で炎上商法に走るというのは、スズメバチの巣に男性器を元気よく突き刺すぐらいの暴挙であり愚挙。インフルエンサーを志すワナビー層は、このネット上の安全保障について、十分な知識と理解が必要だと思います。

 ところで私は、あっさりと出産クラウドファンディング氏を見捨てていく、ブロガー界隈の人々の情の薄さを目の当たりにし、得も言われぬ複雑な気持ちになっていました。得も言われぬ感情……、最近流行りのエモいってヤツですね(違います)。あの界隈の方々は、どうしてああも無責任に他人の背中を押すくせに、その人が転んだときに救いの手を差し伸べないのでしょう。きっとプロブロガー()は、多くの失敗から立ち直って今のポジションを確立しているので、背中を押した人が転んでもすぐに立ち上がれると思っているのでしょうね。そうでなくても、昨今では「死ぬこと以外はかすり傷」というアホな言葉にも注目が集まっているようですし。でも、世の中というのは、失敗から立ち上がって成功したプロブロガー()のように、強くてタフな鉄面皮ばかりではありません。この当たり前の事実に、彼らもいい加減に気づいて欲しいもの。

 特に醜かったのは、渋谷で一緒にアイス配りまでしながら、最後は冷たく氏を切り捨てたソーシャル与信氏。炎上の火の粉に身の危険を感じた彼は、一連の騒動の最中に、盟友であったはずの出産クラウドファンディング氏から徐々に距離を置き始めます。最後は「二兎を追う者は一兎をも得ずって言うけど、彼は結局何も達成できなかった。ただそれだけです」と手厳しい絶縁宣言を突きつけました。YouTubeで出産クラウドファンディング氏が発言した「二兎(出産費用と卒業)を追って一兎(出産費用)は得たかな」という台詞に対しての皮肉のつもりなのでしょうが、よく読めば同じ意味を繰り返した変な日本語(ソ与語)。この程度の日本語力で、ライターだの編集者を名乗る資格はありません。この場で断言をさせていただきます。

 話が脱線してしまいました、本題に戻りたいと思います(ソ与氏ネタは熱くなっていけません)。では、出産クラウドファンディング氏は、どうすれば成功できたのでしょうか。金か、名声か、それとも卒業か。「成功」の着地点をどこに置くのかで、いろいろな考え方ができますが、氏の本当の狙いであった「インフルエンサーの端くれに名乗りを挙げるため」には、どうすべきであったかを私なりに説明してみようと思います。

 まず、「彼女を妊娠させて結婚したのはいいが、留年のピンチにあるダメ大学生」という初期設定は、名を売るための武器としては、それなりにキャッチーで惹きもあると感じました。当然、バカにされたりバッシングされたりもするでしょうが、そういうバカが好きな大人も一定数はいますし、生まれてくる子供のことを思って応援してくれる親切な方々もいるでしょう(実際、出産目前あるいは幼い子を持つ女性アンチのみなさんは、厳しくとも有益なアドバイスを与えていました)。まずは背伸びをするのではなくて、そうした人たちから愛されるバカキャラを徹底すべきでした。

「僕、なんにもわからないので教えてください!」と、素直に学ぼうとする姿勢を見せ、出産費用についての国の制度、マタニティ用品のセレクトなどのアドバイスに耳を傾けていれば、好感度は多少なりとも得られたはず。例のクラウドファンディングの企画書を練り直す際にも、企画の趣旨からリターンの内容まで、人生経験豊富なフォロワーの知恵を借りて丁寧に詰めていけば、少なくともCAMP FIREのユルユルな審査に落ちるということはあり得ません。

「出産クラウドファンディング」という言葉は、かなりのインパクトを持ったパワーワードです。クラウドファンディングが順調にスタートすれば、「若者の新しい試みを後押しする自分カッケー!」とアピールしたいインフルエンサーどもが、ここぞとばかりに自分のブログで拡散してくれたことでしょう。事実、プロジェクトの立ち上げ時には、イケハヤ氏は出産クラウドファンディング氏をベタ褒めしていました。プロ無職のるってぃ氏も彼に一目置いたからこそMacbookをプレゼントしたのです。ビッグウェーブに乗るチャンスは確実にありました。

 インフルエンサーたちの後押しを受けて、めでたく50万円を手に入れたなら、あとはもうバイトなどせずに卒業試験の勉強に専念できたはず。無事に卒業し、内定先のベンチャー企業に入社をした暁には、「君が出産クラウドファンディングの人かぁ〜」などと社内外で持て囃されたことでしょう。顔と名前をすぐに覚えてもらえるというのは、新人サラリーマンにとっては、かなりのアドバンテージです。新人ブロガーとしても「国内初の出産クラウドファンディング成功者」という肩書を得て、ブログのテーマを「出産・育児」に絞って情報発信を続けていけばPVも高水準で安定し、アフィリエイトなどマネタイズの可能性もますます広がっていたはず。

 このように成功の道筋しか見えない出産クラウドファンディングでしたが、氏の戦略ミス以外に、もう一つ大きな落とし穴がありました。留年の理由はテストの成績云々ではなく、そもそもの履修登録にミスがあったためで、どう逆立ちしても卒業は端から望めなかったという衝撃の事実です(ここまで考えさせておいてソレか!)。卒業が大前提の出産クラウドファンディングですから、留年となると返金騒動どころか詐欺呼ばわりされてそれこそ大炎上していたでしょう(ま、実際に今も似たような状況ですが……)。そう考えると、成功して当然だったはずの出産クラウドファンディングが失敗したのには、神の見えざる手……いや、氏は駒大生ですから、道元禅師のお導きがあったとしか思えません。

 履修登録のミスに氏が当初から気付いていたか否かは、確認がとれないことですからここで断言はいたしません。ただ、留年確定だと知っていたのならば、2月まではクラウドファンディングのことなど持ち出さず、憎めないおバカさんとしての好感度をキープすることに努め、留年が決定したところで「だぁいがくぅ〜、りゅうねんしちゃったよぉ〜〜〜〜」と情けない顔で叫んで「留年クラウドファンディング」を企画する方法もあったでしょう。なにせ、ホームレスから買ったダンボールに落書きするぐらいで感動の輪が広がり、50万円ぐらい案外すんなりと集まってしまうのが、今のインターネッツの世界なのですから。