警察に通報とか色々言ってましたが、東京の方ですか?

タイトルに深い意味はありません、コロコロ変わるはずでしたが、もはやずっとこのまんまかも。

廃棄前提おじさんの問題提起はなぜ世間に通用しなかったのか、旅館の夕食は完食前提の自分が考えてみた

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修善寺「あさば」の夕食より「太刀魚と芹の鍋」(画像は単なる自慢です)。

 若いクセして高級温泉旅館が大好きな大塚です(もちろん食事は完食前提)。さて、今年のお盆休みは「廃棄前提おじさん」こと、よりかねけいいち(@k_yorikane)さんが次のようなツイートで新型コロナに負けない注目を集めましたね。

 すでに議論百出の感もあり、いちいちブログのネタにする必要もないかなと思いつつも、ついつい乗ってしまいましたよ「このビッグウェーブ」ってヤツに…。

 かなりの後出しジャンケンなので、私はちょっと違う角度からなるべく建設的にこの問題に斬り込んでみたいと思います。ということで、今回はお得意の言葉尻を捉えた「揚げ足取り」は無しの方向で…。

 さて、炎上のほうは既におさまりつつあるのですが、このタイミングで炎上主のよりかねさんはこんな内容のnoteを公開されております。

note.com

 いろいろと理屈を並べ立てて、自己を正当化しようとしているのは、まあ炎上主も人間だからわかります(みつを)。ただ、この記事の中で、よりかねさんは件のツイートは「問題提起」であったと、次のように綴っているのが私にはひっかかりました。

旅館は昔からこういうものだ、というのはよくわかります。が、それで本当にいいのでしょうか?

特に、私よりも若い世代は、「エシカル」「サスティナブル」方面の感性に敏感です。

もちろん、問題提起によって、万座温泉や、旅館業界を変えようなど、大それたことを思っているわけではありません。変える必要があるのか、はたまた実際に行動するのか、責任を持って判断するのは、その場で生きている当事者の方々です。

私にできるのは、その判断材料となる声の一つを届けること。

そして、国内で一番素晴らしい温泉が、寂れて消え失せることのないようにと、陰ながら応援することだけです。

  言いたいことはわからなくもありませんし、再炎上を防ぐためによく練られた一文であるとも思います。ただ、これを読んであらためて思うのは、「旅先での不満を反射的にTwitterにのせて発信するだけで、はたして問題提起が効果的になされるのだろうか?」ということ。残念ながら私にはそうは思えませんでした。だって、その結果があの炎上騒ぎなのですからね。

「責任を持って判断するのは、その場で生きている当事者の方々です」という、よりかねさんの言葉自体は、まったくもってその通りだと感じます。しかし「食事の量が多すぎるのでは?」という意見など、当の旅館側からすれば目新しさなど全くありませんよね。おそらくは耳にタコが出来るほど聞かされた客からの注文ではないかと。

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※とある日の箱根「強羅花壇」の夕食献立(画像は単なる自慢です)。

 つまり「当事者が責任を持って判断をした結果」が、今の旅館の食事の量だとも言えるのではないでしょうか? その視点をすっ飛ばして「これは問題提起だ!」とドヤってしまったから、「そもそも旅館の料理とはそういうものだ!」という批判が数多く寄せられたのだと私は推測しますが、いかがでしょう?

 よりかねさんは問題提起の際に、今回の旅を「大失敗」だと評価しました。多くの人から誤解された表現ではありましたが、真意としては「選んだ宿が大失敗」だったのではなく、「宿の選び方が大失敗」と言いたかったのだと思います。であるのなら、今回、問題を提起すべきは旅館側にではなく、旅行者側のほうであるべきです。

「GoToにのっかって、身の丈に合わない高級宿に泊まったら、食事の量が多くてたくさん食べ残しちゃった。もったいないことしちゃたなぁ〜…」と、自らの失敗談をベースに、旅の際には自身の価値観や生活スタイルにあった宿を選ぶことの必要性を説く、そんな問題提起であれば炎上などしなかったはず。

 もしくは、彼が言うところの「エシカル」や「サスティナブル」方面の感性に敏感な若者世代に向けて、「日本の旅館にあると嬉しいサービスは?」「日本の旅館で食事の量以上に魅力に感じるところってどんなこと?」などと問いかけてみるのも一つの方法だったでしょう。そこで得られた反応のほうが、旅館側にとっては「夕飯の量が多い!」なんていうものより、よっぽど有益な判断材料の一つとなったでしょう。

 ちなみに私は、旅行をする際には次のようなルールに基づいて宿を選んでいます。

  • その土地に行きたい場合 ⇒ ビジネスホテル泊、夕食は現地の店を利用
  • その宿に泊ってみたい場合 ⇒ 夕朝食付きの旅館を利用

 もちろん、このルールが絶対的に正解だとは思いません。他の人には他の人のルールがあって当然です。しかし、自身の失敗談をベースにいろんな人たちの旅についての価値観を知り、それらを広く共有できたのなら、旅行者にとってはもちろん、旅館にとっても有益な情報が得られたことは間違いありません。

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※下田蓮台寺温泉「瀞流荘」の夕食より「あわびのステーキ」(画像は単なる自慢です)。

 とはいえ単なる正論では、TwitterのようなSNS上では埋もれがちなことも事実。だからこそ、逆にあの炎上騒ぎを活かして、世間の注目がよりかねさんと旅館の料理に集まっていた瞬間に、議論の方向を上手く建設的な方向に持っていくことができたならばーー。今回の炎上騒ぎは結果的にハッピーエンドになれた可能性も十分あったと言えるでしょう。そして、それこそがタバ大塾長の田端タバ太郎さん言うところの「炎上マーケティング」の本質であり、真価だったのかも知れません。

 また、それと同じく批判する側も批判する側で、単なる炎上騒ぎに薪を焚べて楽しむだけでなく、そこからよりよい議論に発展させていくための工夫も考える必要はあったでしょう。界隈とアンチ、立場は違えど他者に内省を求めるのであれば、その矢印は一方的に相手側にではなく、自己にも等しく向けるべきではないのかな、と。